ストロベリーショートケーキ
「お、お待たせしました……?」

「いや、」



おずおずといった様子でとなりに来たあたしを一瞥し、花井くんはさっさと歩き出した。

あたしも慌てて、その大きな背中を追いかける。


おおう……すれ違う生徒みんなが、あたしたちのこと見てるよ。

ていうか何にも約束とかしてないんだけど、この流れは一緒に帰るパターン、だよね……?

い、一体なにを話せばいいのやら……。


もんもんとしながら花井くんの斜め後ろを控えめに歩いていると、ちょうど校門を出たところで、花井くんが思い出したようにこちらを振り返った。

どき、と心臓がはねる。



「……ちょっと、寄り道するから」

「え、……あ、うん」



そっけないほど短い彼の言葉に、あたしは素直にうなずく。

花井くんがちょっとだけ歩くスピードを緩めて、あたしのとなりに並んだ。


……これはコンパスの違うあたしと歩調を合わせてくれているん、だろうか。

なんだか、聞いていた数々の黒いウワサたちとはかけ離れた気遣いに、ちょっと拍子抜けだ。
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