「千夏、おはよう」


「紗季さん、おはようございます」



隣に座ったのは中島紗季さん。
私と同じ経理課で彼女は仕事ができて、その上かなり美人で……
男性社員の間では《北川商事の白百合》って呼ばれている。



当の本人はそういう事は気にしていないみたいで、とても仕事熱心で一目おかれている。



紗季さんだったら素敵な恋人がいても、おかしくないんだけどな……。
恋人はいないなんて不思議で。



前に仕事が終わった後に一緒に居酒屋に行った時に「紗季さんは、本当に彼氏がいないんですか?」って訊いたら。



「私さ、間が悪いんだよね。彼氏なんて一生できないかもしれない」



そんな返事が返ってきてビックリした。
それ以上は何も言ってくれなくて、何だか私も突っ込んだ事は訊けなかった。

いつもは強気なのに、なにかを諦めたような弱々しい紗季さんを見たのは初めてだった。



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