もうすぐ夏なので怪談話でもおひとつ
 御山のテリトリーだから、引っかけられなかったんでしょうね。

 さて、そんな感じでわたしが住んでいた土地は、強い土地神が憑いている場所でした。

 ある日のことです。

 件のバス通りを歩いていて、自転車に乗ったおっさんとすれ違いました。

 おっさんというか、初老の男の人。

 その時に、おっさんの背中にいた「何か」がわたしの背中へお引越し。

「え?」

 とは思ったものの、まぁいっか、で済ませました。

 そんなにヘンなものとは思わなかったんで、よしとしたわけです。


 ところが。

 この「何か」が、御山には気に食わなかったらしいのです。

 例の境界点で、わたし含むでがっつりシャットダウンされました。


 あーれー? 入れない。

 足が、その境界点を一本のラインに、まるで踏み込めないんですよ。

 うろうろうろうろ。

 仕方なく、わたしは祈りました。

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