キミとボクを繋ぐピアノメロディ
出逢い
学校が終わり、すぐに帰宅し莉子は制服から私服に着替え、鞄を放り投げベットに伏した。

(私、何を悩んでいるのだろう…)

さくらは美大を受験するため、今からデッサンの練習をしていた。
それに比べて莉子は、ただ音楽が好きというだけで、毎日ピアノを弾くしかなかった。
莉子も週一回、講師によるピアノ教室に通っていたが、本格的には学んでいなかった。

「まぁ…今さら悩むことじゃないよね。ピアノ弾こう。」

そう自分に言い聞かせて、莉子はPCを開いた。
今回のさくらの要望はゲームの戦闘曲である。CDを持っていないため、曲を探さねばならない。
莉子はヘッドフォンをかけ、インターネットを開いた。
プレイ動画を検索し、検査結果がずらりと並んだところに、”それ”はあった。

「……Sound Of Music??」

どうやら個人のサイトらしい。しかし、何故かそこをクリックしなければならない。
何故かそれを見なくてはならない。
衝動にかられた。

莉子はクリックしてサイトにすすむと、背景には鍵盤のイラストの描いており、青と黒を基調としたTOPページに進んだ。
プロフィールを見ると、4歳上の関西人の男性ということがわかった。
とりあえず、曲を聴いてみようとし、MUSICというページに進む。
そこには信じられないほどの、全てピアノで弾いた曲がずらりと並んでいた。
ゲームの曲がほとんどではあったが、おびただしい数であった。

莉子はその中で知っている曲を試しに聴いてみようと、またクリックをした。
ヘッドフォンから流れるピアノの曲に莉子はうっとりとした。

(私以外にこんな曲を弾くなんて……)

有名なゲームの曲ならば、楽譜は出版されている。
しかし莉子は、あえて買わなかった。

なぜなら唯一の莉子の特技は、楽譜もない曲をもピアノで弾けることであった。
それは絶対に曲げられない……。

この人はおそらく楽譜をみて、アレンジして弾いているのだろう。

しかし、そのピアノ技術に莉子は驚かされた。

そして、HPには日記も掲載されていたので、見る事にした。
それはお気楽、気まぐれ、でも時々まじめな日記であった。


○月○日
今日はバイトで失敗してもたー。
米を運んどったら、ぶつけて袋が破けて米がザザー(○□○;
おぉ、米がよー流れる。。


○月○日
母親が夕飯何が良いん?と聞いてきた。
俺は「寿司!」と答えたんやけど、却下された;ー;
結局「ラーメンがいいわぁ!楽やし。」
えええぇ!!ピザは!?唐揚げは!?;;
俺に聞いた意味めっちゃ無意味やんけ!!!!


莉子は、その素直さに、関西人らしいノリに笑っていた。
ピアノだけでも凄いのに、その人自身もおもしろいなんて……

莉子の母親が夕食だ、と声をあげたが莉子は夢中になっており、夕食をとることすら忘れていた。
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