山神様にお願い
自覚がない私は瞬きをする。そうかな・・・変わってないと思うけど。
「前はそんなこと言わなかったのに。一体誰の影響受けて、そんなS体質になったの?」
・・・S体質。私が何らかの影響を受けているとすれば、それは山神の獣達に違いない。
虎とか龍とか鶴とか馬だ。特に、前の2匹。
ほぼ毎晩の勢いで追い掛け回されている鹿は、多少強くなるのが普通ではないだろうか。
「前の私なら、どんな反応だった?」
プリントを畳ながら言う私を見て、阪上君は面白くなさそうな顔のままで言う。
「赤くなって、舌も噛みまくって、ご褒美なんてないです!!って言ったハズ」
「・・・はあ、まあそうだったかもね」
言った気がするな、そんな台詞も。考えていると、髪を切って爽やかボーイに扮している悪魔が、境界線を越えてにじり寄ってきた。
「やっぱり影響なんだ。しかも思い当たる人がいるんだ。ソレって男?」
「ちょっとちょっと、君、境界線越えてますよ」
「ねえ、センセー、それって男?」
私はしっしっと手を振りながら、しぶしぶ頷いた。
「うちの店長と板さんは結構ないじめっ子なのよ。ほら、下がって下がって。約束は守らなきゃ、阪上君!」