幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜

芹沢鴨








「お世話になりました、実風姐さん」






畳みにぴったりと額をつけ、完璧で、乱れのない最上級の礼を示すと、譲は差し入れに買ってきていた実風の好物の甘味を差し出す。







だが、実風は現れた甘味に目を輝かせて食いつくどころか、まじまじと譲に視線を注いでいた。








その視線を痛いほど受けていた譲は、顔を上げるのが気まずかった。










「どういうことだい、譲ちゃん。説明……してくれるね」








「はい」






譲は面をあげて、はっきりとした声で通るように返事した。
















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