【完】俺が消えてしまう前に
小さいなりに、考えてるんだな。
愛希も。
俺は小さな頭に手を乗せてぐりぐりと撫でまわした。
「いっちゃんいたいー!」
「我慢しろー」
「やーっ」
俺らの姿を見て決心したのか、
七海は一旦家に帰ると言いだした。
「学校鞄持ちに行かなきゃ」
「一応制服は来てるのになんで鞄は持ってきてないんだよ」
「・・・本当だ」
「本当七海ってなんか抜けてるな」
「いいじゃんか!」
七海が内気な性格なんて考えられない。
こんなにも喜怒哀楽がはっきりしている子。
・・・いじめられているわけがない。
俺はいつしかそう考えるようにもなっていた。
だけど目の当たりにしたんだ。
七海へのいじめが相当ひどい事に。