狼系王子とナイショの社内恋愛
◇「してましたよね、俺の話」



「聞いて下さいよー。
先週の金曜日、結城さん二次会行く途中でどっかに消えちゃったんですよー」

金子さんが口を尖らせながらそう言ってきたのは、翌週月曜日のお昼休みだった。

B定食のかれいの煮つけを食べながら、苦笑いを隠して視線を逸らす。

「そうなんだ……。
もしかして金子さんも結城さん狙いなの?」
「いえー。私はもっとずんぐりむっくりした人が好きなので。
クマさんみたいな体型の人が好きなんです」
「えっ、そうなの?」
「はい。抱きつくと安心できるじゃないですか。
包容力あるし」

包容力って直接的な事を言うんだっけと疑問に思いながらも黙っていると、隣の席にトレーを置いた金子さんが続ける。

「まぁ、私の好みなんていいんですよ。
問題は、結城さんが二次会にこなかったって事ですしー」
「二次会、盛り上がらなかったの?」


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