侍ヴァンパイア

ドラゴンの巣

「あんなガキがお屋敷に居るから、錦様は行き遅れるのだ」


「これが…最後の…縁談でしょうね」


ーーー


「なぁ、、、錦…?」


ガキの俺が呼び掛けた先にーーー
佇む小さな背中がそっと此方に振り返るーーー


『あぁ?錦だと!?師匠と呼べ!ボケナスが!!!

ーーーゴホッゴホッ…』

弱々しいゲンコツーーー
少し、痩せたなーーー


「…俺がいるから…縁談の話、、、受けないのか?」



『ガキがませた口聞くんじゃあないよっーーー
お前、自分のせいで私が嫁がないとか思ってるんじゃあないだろーねぇ?』


「…。。。」

苦虫を潰されたみてーな顔、わかりやすいガキだーーー
あぁ、俺か。


『図星かい、ふふっ、、、』


「俺が居るから錦は行き遅れてるって、街中の噂だ」


『ふっ。余計なお世話さねっ、、、

私の、、、
この身体がこんなだからさーーー
だから、


縁談があってまとまりかけても、良い子が産めないとかで、断られるーーー仕方のない事ーーー
お前なんかが気にする事じゃないよ』


「じゃあさ、、、ずっと、、、ここに居ろよ」


錦は桜の木の下でふわっと微笑むーーー




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