怒りにこぶしを握り締めながらも、コーヒーを淹れるためにキッチンへと向う。
コーヒーメーカーが見つからず振り返ると、奥の方を指差された。
指された場所をよく見ると、ピカピカに光ったカプチーノマシーンがあった。
あまりにデンと存在感を放ちすぎていて、目が拒否していたのかちっとも気がつかなかった。

「すっごい。こんなのが家にあるって、普通じゃないよ」
「いいだろ?」

凌が、少し自慢げに笑う。

機械の傍に行って、あれこれいじってみたけれど、使い方がさっぱり分からない。

「ねぇ、これってどうやって使うの?」

訊ねながら振り返ると、いつの間にか真後ろにいた凌が、あたしに覆いかぶさるようにしてマシーンを動かし始めた。
途端、うーんっと唸り声を上げ、コボコボとコーヒーの香りを立ち上げる。

「おお!」

機械を見ながら感嘆の声を上げると、真後ろに立ったままの凌がそのままあたしに覆いかぶさってくる。

「ちょっと、凌。重いよ」

ふざけないで、と首だけ背後に巡らせようとしたら、凌の口元が耳の傍で熱い吐息を吐き出した。

「あかり……」

背後から抱きすくめるその態度に、心がザワザワとしていく。