2LDKの元!?カレ
なんて、酷い顔。
自嘲気味に笑うと、乱れた前髪を手櫛で整えて、マスカラが滲んだ黒い目元を指でこすった。
私、小松志保子(こまつしほこ)は女性誌のエディターをしている。
早朝から深夜まで、働き詰の私には、化粧崩れすら気にする暇なんてない。
特段今日は忙しい一日で、今朝は始発電車に乗って湘南で行われたロケーション撮影に同行し、帰社後はライターとの打ち合わせ。
夕方、別件で仕上がってきた記事の校正作業を終えた後、メールチェックをしながらの企画書作り。
こんな毎日を過ごしていると、ついつい大切なことも忘れがちになるもので……。