嘘の誓いとLOVE RING
嘘の誓い


青空の下、鳴り響く鐘の音。

白いチャペルから、生花のシャワーを浴びて出てくる新郎新婦。

二人の笑顔は幸せに満ちて…。

というのが、きっと結婚だと思う。

それが、今、私は神様の前で嘘の誓いをしようとしているのだ。

純白のウェディングドレスに身を包んだ私。

きっと誰もが、幸せの絶頂にいると思っているだろう。

でも、違う。

私は今日、自分の人生を捨てるのだ。

好きでもない凌祐(りょうすけ)との結婚で。

「病める時も、健やかなる時も…」

外国人神父さんからの、このお決まりなフレーズを、ここまで冷めた気持ちで聞いている女性もいないと思う。

「変わらぬ愛を誓いますか?」

変わらぬも何も、そもそも凌祐に愛なんてない。

だけど、私は嘘をついた。

神様の前で、嘘の誓いをしてしまったのだった。

「はい、誓います」

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