体育館12:25~私のみる景色~
進展の予兆かもしれません

 夏休みが明けた。


 今日からまた学校が始まって、そこに新しくみーくんも仲間入りだ。


 夏の残り香でまだ暑いけど、ピーク時に比べればだいぶ涼しくなってきたと思う。


「海外からこの夏にまた戻ってきました。七種海です。5歳までこっちに住んでました。よろしくお願いします」


 にこりと爽やかに笑い、教壇の前に立ってあいさつをしたのは、言うまでもなくみーくんだ。


 黒板にさらさらと自分の名前を書き、ご丁寧に“さいくさ うみ”とふり仮名まで書いている。


 なんの偶然か、運命か、私はみーくんと同じクラスになったのだ。


「七種君くん、かっこいーね!」


「彼女はいるのー?」


 教室のあちこちから、いろいろな質問が飛び交う。


 女子からの悲鳴に近い声や質問がほとんどだけど。


 みーくんはその一つ一つに「ありがとう」とか「いないよ」とかって真面目に答えてた。


 女子ウケがいいし人当たりもいいみーくんは、あっという間にクラスになじんだみたいで安心した。


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