体育館12:25~私のみる景色~

 後ろを振り返ると佐伯先輩と慶ちゃん先輩は、店先から私たちを見ていて。


 それに気がついたみーくんは「慶ちゃんセンパイ、休み明けからよろしくお願いしまーす! 佐伯センパイも!」なんて、至極おもしろそうに叫んで手を振った。


 佐伯先輩は呆れたように店の奥に戻って行ったけど、慶ちゃん先輩は案の定ギャンギャン吠えまくっていた。


 ああ、なんだか休み明けから大変になりそう。


 そんな予感が脳裏をかすめたけど、それと同じくらいに胸が高鳴るのを感じた。


 クールな佐伯先輩、“慶ちゃん先輩”って呼ばれるのを嫌がる慶ちゃん先輩に、それをいじるみーくん。


 にぎやかになりそうだけど、問題もありそうで、そっと息を吐き出した。


 そんな休み明けの不安と期待に、感情をごちゃごちゃにさせている私を、赤いゼラニウムだけがみていた。


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