お茶の香りのパイロット
スーパードールを食い止めろ!
ジナフはメカニック担当のナオヤの父親で、昔は王宮の執事をやっていた。
ナオヤ同様、アルミスがやってきてからはアルミスの使用人として働いていたのであった。


ビービービービーーーーーー!



「王宮側へ60km先に小型ロボットと戦闘機十数機出現!
戦闘スタッフは指令室に集合せよ。」



「ラーガとアフィニはいつでも出撃できるぞ。
ウィウス正規軍からの応援要請も出ているようだし、たたいて損はない敵だ。」


ナオヤがそう言うと、アルミスは少し不可解な表情で話す。


「戦闘機はともかく、小型ロボットは初めてですね。
しかも、レーダーを見ているとかなり動きが速い。

この敵をとらえられるかどうか・・・。」



「だったら放っておきますかい?
アルミス様だったら、たとえそいつを倒せなくても、ヒントくらいつかめると思ったんだけどねぇ。」


「そうか・・・倒されなければデータは十分とれそうってわけですね。
わかりました。やってみましょう。

でも、アフィニは頑丈にできていませんから回収を手早くお願いすることになりますよ。」



「わかってますって!」



「小型ロボットを倒せばいいのでしょう。
くらいついて、絶対倒します!」



「フィア・・・無理はしなくていいから。」



「無理じゃありません。
私は軍隊出ですし、むざむざやられるなんて嫌です。」



「はぁ・・・ふぅ。意気込みはわかりました。
けれど、こういう戦闘はチームで活動することも軍隊でならよく御存じでしょう?
データ重視です。わかりましたね。」


「はっ!王子こそ、相手が小さいんですからきりきり舞いさせられませんように。」



「ああ、ご忠告ありがとう。
あ、フィア、私も男としてやられっぱなしなほどお人よしではないので、上司として命令するよ。

ここで私に迷惑になる行動をとったなら、私は君に罰を命じるからそのつもりでいてください。」



「わかりました。いいデータをとっていいところで撤退すればいいのでしょ。
やってみせますから。では!」



そして、2人は目的地へと大型輸送機で急いで出かけた。


戦闘機と小型ロボットはどうやら王宮方面へと向かう物資のトラックやヘリへの攻撃をしていたようだった。

ラーガとアフィニが地面へ降り立ったときには、もうトラックの姿は残り2台ほどに減っていた。


「うっ、遅かったか・・・。」


「まだ2台ありますし、トラックには下がるように連絡しました。
すぐに攻撃に入ります。」


「ああ、フィアがんばって。
くれぐれも無理のないように!」


ラーガはミサイル一斉射撃で戦闘機をまず一掃した。


ラフィニも戦闘機の残り3機をつぶした後、小型ロボットへと照準をあわせた。

しかし、小型ロボットのあまりの機動性のせいで、ショットガンでさえもなかなかとらえることが困難だった。


「くっ・・・照準が合わせられないほどとは・・・。
だけど、動きについていけないほどじゃないわ。」


追いかけっこのようにラフィニは小型ロボットを追っていると、割り込み通信が突然入った。



「内緒にしておこうかとも思ったんだけどね・・・そのロボットは人は乗ってないからね。
名付けるとしたらスーパードールって言っておこうか。

操作してるのはいったいどこからなんだろうね。ふふふ。
でも・・・攻撃はできちゃうんだからね~~~。」



そんな軽い口調なのに低めの重々しい男の声が、しゃべり終える頃だった。


ズズーーーーーン!


「うっ、キャッ・・・撃たれた?」


「どうした、フィア?」


「背中を少し損傷したみたいで。出力が少し落ちて・・・でも、データは追った分だけ送ります。」


「無理はするなフィア。すぐに撤退を・・・あっ・・・」



ラフィニから逃げていた小型ロボットが、ラフィニに向かって激しく攻撃を仕掛けていた。
弾丸そのものは小さなものだったが、煙がたち始めた背中部分に攻撃が集中されている。



「やだ・・・振り切れない。このままでは火を噴いてしまうわ。
撤退ってどこへ逃げればいいのよ・・・。きゃあ!!!」



「フィア、逆噴射してラーガの腹の部分にしがみつくんだ。
あとは私が逃げ切ってみせる!」



「了解。うまくいって・・・逆噴射!」
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