【完】白衣とお菓子といたずらと
相談があります






――コンコン


「お疲れでーす」


毎回思う。ノックの意味はあるのかと。


間延びした挨拶と同時に病室に訪れたのは、珍しい池田1人だった。いや、1人だったことも珍しいけど、何より珍しいのがこの表情。いつもと違う表情が気になって仕方ない。


なぜ先ほどからこいつは……ニヤニヤと笑っているのか。


小川さんのお休み1日目。リハビリは俺の面識のない、男性スタッフが対応してくれた。きちんと申し送ってあったのか、内容に不満はない。けれど、なんだかすごくつまらなくて、小川さんの存在が当たり前になっていたんだなと気づかされた。


つまらない、退屈な1日も終わりが近づき、ついさっき夕食までを終えたところだった。


そこで現れた訪問者。わざわざ何の用なのだろうか。


訪ねてくれた事は嬉しいが、如何せんあの表情だ。素直に喜べやしないし、いい予感が全くしないというものだ。

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