空のこぼれた先に
*Chapter Ⅱ 

記憶



*****



────カシャン。

すぐ傍で、金属がこすれるような音がした。

その音で、沈んでいた意識がフッと現実に戻ってくる。


ゆっくりと瞼を押し上げた。

けれど、何も見えなかった。

自分の周りにあるのは、目を開けているのかどうかさえ分からなくなるほどの暗闇だけ。


……なんだか身体が重い。

パチパチと何度か瞬きを繰り返していると、次第に暗闇に目が慣れてきた。


それと共にぼんやりとしていた頭が少しずつはっきりとしてきて、身体の感覚も戻ってくる。


どうやら自分は横になっているようだとようやく気付き、ゆっくりと上半身を起こすともう一度、カシャン、という金属音がした。


「……?」

音がしたのは、どうやら右手の方。

何の音か確認するために自分の手首を視線の高さまで持ち上げようとして────、再び金属音が鳴り、何かに手の動きが阻まれてしまう。

手首に、圧力と微かな痛みが走った。


おそらく、その痛みのせい。

未だよく状況を理解できずに寝ぼけていた頭が、一気に覚めた。

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