同期が急に変わったら…。〜将生side〜



入社以来、

何度か告白された。




社内の子もいれば、

取引先の子もいた。






若い頃は、

それなりにタイプの子だと、

すぐに付き合う事になり、

普通にデートをした。






自慢にもならないが、

女に自分から惚れたという事は

社会人になってからは

一度もない。






どうやら俺は

女達の言うイケメンという部類に

入るらしく

時々呼び出されては、

告白される。






おかげで、

さほど女に不自由はしなかった。






俺も男だからな。

彼女くらいは欲しいと思っていた。






が、

仕事で遅くなるのがほとんど、の俺。

電話やメールもまめにしない。

女を笑わせるような

楽しい話など、全く出来ない。






そんな俺だから、

彼女の不満が溜まるらしく、

『これで付き合ってるって言える?』

と、何度言われただろう。






そのうち、俺も彼女と居ても

楽しいと感じなくなっていった。






だから、結局別れてしまう。







でも、

いずみとは、

仕事が遅くなっても

飯だけに行ったり

逆に、仕事が早く終われば

ゆっくりと飲みにも行く。






まあ、とにかく気を使わない。

楽だ。





いずみが話す事を聞いたりするのは、

普通に楽しい。





俺の話すつまらない話には、

ツッコミを入れながら聞いてくれるし、

仕事の話、真面目な話にも

うんうんと笑顔で聞いてくれる。






特に会話がなくても

俺はそれを全く苦痛に感じない。

いずみも気まずそうにしない。







そんないずみと、

飯や飲みに行くのは、

密かに俺の生活の中の

サイクルに入っている。







ただ問題は、

俺に彼女ができたら、

いずみは、そういうことを

一切、付き合ってくれなくなる事。







若い頃は、

それはそれでよかった。






彼女と飯に行ったり、

飲みに行けばいいだけの話。






しかし、ここ数年。






俺は昇進し、課長になった。

年齢だって、若くはない。





女からの告白に軽く乗っかる程

俺もバカじゃない。






だから、

告白されても、慎重に相手を選んだ。







それでも、

やはり、

更に忙しくなった俺は、

仕事を最優先していた。





デートの為に、

仕事をなんとかする、なんて事

俺がするわけもなく。





結果、

デートなんて、ろくにも出来ず、

まめな連絡もせず。





で、いつものセリフを聞く事になり、

やはり長くは続かなかった。







というか。






いずみと飯だけでも行きたかった。

いずみと飯にさえ行けない事が

苦痛になった。






同期で部下のいずみ。






こいつの存在が

俺を狂わせた。





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