ディスオーダー【短編集】
2 → 廃旅館

 気が付いたらそこにいた。

 私は、気が付いたらそこにいた。

 視界いっぱいに飛び込む青色の海、振り返れば爽やかな深緑――おそらく、森。

 まるでバカンスに来たかのような錯覚に襲われる。

 まさに、絶景という言葉が似合う場所だった。

 私は砂浜を歩き、辺りを探索してみることにした。

 いくら歩いても片面は海、片面は森だったけれど、バカンスに来た気分で砂浜を歩いていたため、飽きはしない。

 むしろここにいることが本当にバカンスに来ているかのようで、ワクワクがとまらなかった。

 しばらく砂浜を歩いていると、前方に大きな建物がそびえ立っているのが見えた。
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