夏色の約束。~きみと生きた日々~


「う……っ、いったぁ……」


なつの顔に白い砂がたくさんついた感覚。


でもそれより、顔中が焼けるように痛い。


痛くて痛くてどうしようもなくて、体を起こしてその場にペタンと座り込むと、なつは大きな声で泣き始めた。


「ほら、もう。だから、こけるわよってお母さん、言ったじゃない」


そんなお母さんの声が、なつの耳に突き刺さるように響く。


だけど、なつが泣き始めてからすぐに、頭の上に何かがのせられた感触。


………なに?


顔をバッとあげると、そこにはまだ見たことのない男の子。


年は、なつと同じくらいかな?


男の子は、なつを見てにこっと笑うと、


「いたいのいたいの、とんでいけー!」


って、ものすごく大きな声でそう言った。


「へ……」


なつはびっくりしてその場に固まる。


………あ、でも、痛いの、本当に飛んで行っちゃったかも……。


気づけば男の子に意識が行ってて、さっきまで痛かったのが嘘のように、顔の痛みは消えてなくなっていた。


「もう、いたくなくなった?」


なつの横にしゃがんで顔を覗き込んでくる、心配そうな顔の男の子。


< 15 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop