夏色の約束。~きみと生きた日々~


「病院に搬送します!ご両親は救急車に一緒にお乗りください。この女の子のお母様、お車はお持ちですか?」

「はい……!」

「では、我々のあとに続いて病院まできてください」


救急隊員の人は切羽詰まった声でそう言うと、すぐにあおちゃんを担架に乗せて車に乗り込んだ。


あおちゃんとすれ違う瞬間、一瞬だけあおちゃんと目が合って、口元が何かを伝えようと動く。


「………っ」


……胸が苦しくて苦しくて、壊れてしまいそうになった。


「菜摘……!あなたも早く病院に行くわよ。車に乗りなさい!」


もう少しで涙が溢れそうになったとき、お母さんの大きな声が聞こえて、なつはハッと我に返る。


病院へ向かう車の中は、終始静寂に包まれていた。


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