夏色の約束。~きみと生きた日々~


『今日の朝ね、碧くんが倒れたって。碧くんのお母さんから電話があってね……』

『……え?』

『今、島波医大病院に救急車で運ばれてるんだって』

『……う、そでしょ……?』


突然の出来事に、なつの頭がついて行かない。


口の中がカラカラになって、上手く息ができないし……。


『菜摘も知ってる通り、碧くん、心臓病でしょ……? 朝、急にね、発作が起きたらしいの』


待って……。


お母さんの言ってることが、よく分からないよ。


あおちゃんが倒れた?


発作が起きた?


嘘でしょ………?


しかも、島波医大病院って、島以外の場所でもとても有名な大きな病院じゃん。


そんな場所に、あおちゃんは運ばれてるの?


『あお、ちゃん……』

『菜摘……』

『嘘、だぁ……。 ねぇ、お母さん…。 嘘だって、言ってよ……?』


なつの瞳から、一粒、また一粒と、涙が流れていく。


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