夏色の約束。~きみと生きた日々~


「あ、菜摘(なつみ)先輩!」

「本当だ!ねぇ、みんなー!菜摘先輩がきてるよ!」

「えー?嘘!?」


なつの母校である島波(しまなみ)中学校の門をくぐると、たくさんの後輩がなつの周りに集まってきてくれた。


こういうの、すっごく嬉しいよね。


辺りをグルッと見渡して顔ぶれを見れば、みんな見たことがある子たちばかり。


それもそのはず。


なつたちが生まれ育ったこの島は、人口が約700人と少し小さな島。


学校は、小学校、中学校、高校と、それぞれ一校ずつしかない。


保育園や幼稚園なんかもなくて、いつも小さな子供たちを見るのは、近所のおばちゃんやおじちゃんたち。


この島の人はみんな優しくて、今まで犯罪が起きたことなんかない。


だから、とても安心ってわけ。


< 5 / 306 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop