バース(アイシテルside伸也)

ピンポーン



唇が触れるか触れないかの距離になったときインターホンが鳴った。



タイミングが良かったのか、悪かったのか、どちらとも言えない複雑な気持ちで玄関に向かう。



そこに立っていたのは、俺を睨み付ける佑だった。



「亜美、いますか?」



「あぁ」



「俺帰るんで、送って行こうと思って」



「わかった」



亜美は結局、佑とどのような関係なのかは答えてくれなかった。



それがわからない以上、俺には佑を部屋に通すという選択肢しかない。



「祐が迎えに来てる」



俺の言葉に、


「うん。帰るね。色々とありがとう」


と素直に佑の元へと駆け寄る亜美を見ていれば、答えはもう明らかだよな。
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