バース(アイシテルside伸也)
「付き合っている」と答えれば亜美には触れない。
「付き合っていない」と答えるなら……最後に俺の悪あがきを許してくれ。
俺の予想を裏切るように、亜美は何も答えずに俺の背中に手を回す。
俺を抱き締めるように、回した手に力を入れる亜美に戸惑っていた。
今、目の前で起こっている行為に、どういう意味があるのかと……
「亜美の体温、心地いいな」
一向に体を離そうとしない亜美。
これ以上、亜美に触れていれば、俺は理性を保っていられる自信がない。
言葉と共に体を離すと、何かを訴えるような瞳が俺を捕えた。
俺はその瞳に吸い寄せられるように、亜美の口元に近づいた。