バース(アイシテルside伸也)

そして、とうとう卒業式を迎える。



俺は車にもたれ掛かり、亜美が校舎から出てくるのを待った。



煙草の煙が空へと昇って行くのを見ながら、この車に亜美を乗せるのも、本当に最後なんだなと実感してしまう。



4本目の煙草に火を付けたとき、誰よりも早く校舎から出てきた亜美の姿が目に入る。



「伸也さん!!」



「卒業おめでとう」



息を切らして、駆け寄る亜美に最高の笑顔を向ける。



亜美。



お前が最後まで涙を見せないなら、俺も最後まで笑顔でいるよ。



それがお前の望む別れなんだろ?
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