好きなんて、言えるかよ。


屋上を出て階段を勢いよく降りていると


ドンー!


誰かにぶつかる。


「あ、ごめんなさ……」


そうやって謝ろうとした時、口をつぐんだ。


「ごめん大丈夫?

怪我してない?仁菜」


誠くんだ……。

あの時みたいに優しい表情をしている。

また、ドキドキと反応する心臓。


すると、ポケットの中から

家のカギが出てしまったのか、私のカギが誠くんと私の間に落ちていた。


とっさに拾おうと手を伸ばすと、誠くんも一緒に手を伸ばす。

< 123 / 327 >

この作品をシェア

pagetop