キケンなアイツとの生活
初デートは制服で
「じゃあ、行こうか」
「ねぇっ、でもわたし制服だよ…」
「仕方ないだろ、緊急だったんだから」
「緊急って…」
「このままの関係はイヤだったんだよ」


つまりはご機嫌取り、みたいな感じ…?もしかして…。んー、でも許してあげようかな。


「でも今度はちゃんとカワイイ洋服着てデートしたい…」
「あぁ、いいよ」


へへっ、やった!今度千夏さんに洋服選んでもらおっと!楽しみだなぁ、洋服選び!


そうして、わたしと冬弥さんは車を降りて、水族館へと向かった。お財布にあまりお金が入っていなくて、正直に言うと「バカだねぇ、んなことは気にすんな」と、わたしの分も余裕で払ってしまう社長さま。水族館の入場料なんて屁みたいなもんなのかな。


「愛梨、ヒトデ触れるってさ。触る?」
「や、ヤダよっ!なんか気持ち悪いもん!冬弥さん触ってよ」
「えー、オレだってヤダよ。ヒトデより、オレは愛梨に触れたいな」
「ちょっ、普通に子供とかいるんだから!そういう発言は控えて!」
「はいはい」


まったく…。隙あらば、そういうこと言ってくるんだから!ホントどうしようもないオトナ。


そして、次のゾーンに行こうとした時だ。突然後ろから話しかけられて、わたしの足が止まった。


「あれ?愛梨?」
「……蒼甫っ、」


まさか、今日に限って会うと思わなかった…。もちろんトナリには、この前見た彼女もいて…。一瞬、胸がチクンと痛くなった。


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