キケンなアイツとの生活
「……ホント、勝手な子。家に帰りたいんだろ?なんでそんな、膨れっ面してんの」
「だって……」


ホント、わたしって勝手だ。ホテルは行きたくないって、思っていたのに、どうして……。


「分かった。ホテル行く、コレ決定ね」
「えっ、待って!」
「ダメ、時間切れ」
「………」


時間切れって…クイズじゃないんだから…。でもきっと、強引にでもじゃないと、わたしは行けないのかも…。それを分かって、冬弥さんは言ったのかな。


やがて、冬弥さんのホテルが見えてきて、地下の駐車場へと入って行く。なぜだか、今からドキドキしてしまって、吐き気までしてきた…。


前と同じ、小さめのエレベーターに乗って、前と同じ部屋へと行く。そしてカードキーで鍵を開け、冬弥さんが扉を開けた。


「…っ、やっぱ冬弥さん!」
「そんなにイヤ?帰る?」
「………」


そんな寂しそうに笑わないでよ…。帰るって言えなくなるよ…。黙ったわたしの背中に冬弥さんの手が触れると、自然と足が部屋の中へと入って行く。そしてわたしを、窓側の夜景が見える場所へ連れて行くと、わたしから離れて行った。


「今、お風呂用意してるから。準備ができたら、入るといいよ」
「……うん」


わたしの返事からなのか、冬弥さんは曖昧に笑うと、なにやら部屋に付いている内線で話し始めた。そして、それを切るとそのままベッドへと横たわってしまった。


< 164 / 167 >

この作品をシェア

pagetop