千鶴はいつもの目覚ましの音で目を覚ました。

いつもなら、ベッドのなかでうだうだと時間を過ごすのだが、今日はそんなこと言ってられない。

トーストとコーヒーだけの朝食を済ませると、いつもよりも念入りに身支度をした。

髪の毛はボブのどこもはねていないように気をつけて、いつもはグロスしか塗らないのに口紅を使った。

お気に入りのスーツに七センチのヒール。

鞄にスマホをほおりこんだら戦闘態勢が整う。

(さて、がんばりますか!)

正直会長の言っていることには無理がある。だけれども引き受けた以上はしっかり仕事をこなさなくては。

―――あの絵のためにも。

***

千鶴が秘書課に到着するとそこにはすでに、課長の高浜勇矢(たかはまゆうや)はじめ三人の女性が各々の席についていた。

「遅くなって申し訳ありません」

一言声をかけて千鶴も席に着く。

「始業時間にはまだなってませんから大丈夫ですよ」

優しい笑顔の勇矢に声をかけられて、緊張が和らぐ。

軽く会釈をしてパソコンを立ち上げる。

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