青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
◆第二章
空と雲の時間
去年の、ことだった。
ものすごく晴れた、夏の日。
ちょうど今と同じ、夏休みに入る前のこの時期だった。
『トモ。進路調査票、なんて書く?』
まだ高校に入ったばっかだっていうのに、進路調査票なんてものを渡されて。
友達にそう訊かれて、『えー…サラリーマンとでも書いとくわ』と笑いながら答えた記憶がある。
大体、俺らは数ヶ月前にやっと受験を終えたばっかなんだ。
今度は大学のことなんか、そんなに続けてポンポン考えられるわけがない。
…あー、めんどくさ。
その時期は特に、家のなかが荒れていた。
俺の二つ上の兄は、昔から真面目ではなかったけど、中学の頃から校則違反を繰り返していた。
ついには高校受験に失敗して、通信制の学校へ通ってはいるものの、遊び狂っている。
それに怒った親が、毎日のように兄へ怒鳴りつける日々。
ああはなるなと親に言われ続けて、俺は公立の進学校に合格したけど。