齧り付いて、内出血
こう見ると、本当に長身の2人だ。
この狭い部屋におさまってるのが不思議な気さえしてくる。
「久世さん、金貸して。」
「あ?」
「今一文無しだからホテル泊まれない。気を遣わなくて構わないなら貸してくれなくていいんですけどね。」
久世がすごく嫌そうに「何か食えよ」と言いながらお札を何枚か手渡した。
なんだかんだ面倒見が良い。
「じゃ、ヨリ。」
それだけ言ってすたすた玄関に向かうのを慌てて追いかけた。
外に出よう、としているところに呼びかける。
『トキワ、お礼ちゃんとしてくれないと怒るからね。』
こちらを振り返らずに、彼は軽く手だけをあげた。