淫らな夜
淫らに…
隣りから聞こえてくる寝息に耳を澄ます。


規則正しい音で深い眠りについたんだと分かって、枕元に置いてあった携帯に手を伸ばした。


“した?”


毎晩届くたった一言だけの秘密のメール。


5年同棲している彼氏が寝たのを見計らったかのように送られてくる。


“してない”


そう送ったあと、彼氏の背中を見つめた。


いつからだろう。


私に触れる事もなくなり、背中を向けて寝るようになったのは。


“欲求不満?”


“イジワル言わないで”


カァーッと火照った顔を覆うように、私も彼氏に背を向けた。
< 1 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop