美狐はベッドの上で愛をささやく
◆プロローグ◆





俺を覆うのは闇。


一点の光さえもなく、すべては虚無というものに支配される。



目の前には……愛おしい君が横たわる姿。




なぜ、君は俺を置いて旅立ってしまったのだろうか。




君の手を握っても、もう握り返してくれない。



俺を映していた美しい瞳も閉じられ、何も映し出すことはない。


あれほど美しかった桃色の肌も青白い。

微笑みを絶やさなかった唇は紅色から紫に変化している。




耳元で君の名を呼んでも、返事さえもしてくれない。



――ああ、なぜこのようなことになったのだろう。




俺を置いて逝った君は酷い人だ。







そして、漆黒といわれる闇の中、俺は静かに涙し続ける。




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