真夜中のパレード
どうして?


仕事が終わると、二人はげっそりした顔で
タクシーに乗った。


今日宿泊するホテルに向かうためだ。


「疲れただろう?」


上条に話しかけられ、
薄く微笑む。


「普段デスクワークばかりですから、
確かにちょっと疲れたかもしれません」


車は十分ほどでホテルに到着した。


ロビーでチェックインをすませ、
互いの部屋がある階までエレベーターで上がる。


「俺は503号室だから」

「私は504ですね」


鍵を確認し、透子は廊下で上条に頭を下げる。


「今日はお疲れ様でした。

それでは上条さん、明日の仕事は
予定通りで大丈夫ですよね?」


明日の確認をし、
さっさと部屋に入ろうとする透子に焦り
上条は小さく咳払いする。


「あぁ、明日は特に変更はないが……

今日の仕事は片付いたし、
夜、一緒に食べに行かないか?」


これから何か予定があるということもないだろう。

当然同意してくれる物と思って声をかけた。




しかし予想に反して、
透子の答えはつれない物だった。
< 246 / 307 >

この作品をシェア

pagetop