イケメンなんか大嫌い
翻る

週が明け、水曜日を迎えている。
あれから俊弥とは特に連絡は取っておらず、昨日の勤務中に仕事上の電話が一度あったが、短い業務連絡を交わしただけですぐに終了した。


定時に仕事を終えたものの、夕食を作る気分が上がらず、弁当を買って来てしまった。
静か過ぎる部屋が寂しくテレビを点けてみたが、画面の中の楽しそうな人達の姿に、それはそれで虚しさが募る。
おかずは食べ切れずに、残りは明日の昼食にでも回そうと、箸を置き嘆息を吐いた。

連絡……してみる? この間、良い感じだったから、わたしから連絡したって……。
そこまで巡らせたところで、理性に引き戻される。
……急に彼女ヅラかよとか、思われないかな。


風呂を磨いて、お湯を溜めながら、またもや意図せず溜息が漏れ出ていた。
そんな自分に頭を痛めながらも、お湯が噴き出すバスタブが視界でゆらゆらと揺れた。

風呂が沸くのを待つ間、ベッドにボスッと横たわる。
枕を握りながら、瞼を閉じる。

……会いたい。声が、聞きたい。
自覚するより先に、心に浮かべていた。
……お兄の言う通りなのかも……わたし、変態かも。
完全に、待っている。俊弥が付き纏って来るのを。

< 133 / 209 >

この作品をシェア

pagetop