呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
番外編【MARRY YOU】

あれから、穏やかな心安らぐ日々が続く。

忙しい日常は変わらないけれど、
残業漬けの 毎日も変わらないけれど、
それでも央と一緒にいたくて央に合わせて休みをもぎ取る様にした。

変わったのは俺のスタンス。
今までの俺は『休めない』んじゃなく『休まない』だったんだって気づいた。

央に祝って貰った誕生日。
こんなに幸せな気持ちになれるなんて、満ち足りた気持ちの分だけ央の誕生日を蔑ろにしていた自分の馬鹿さ加減に土下座して謝りたい気分だった。


その分思い付く限りのおもてなしを心に決めて挑んだクリスマス。
約束をして、手を繋いで、イルミネーションを見に行った。


寒いなか、わざわざ出掛けて見に行く意味が分からないと思っていた筈なのに、隣に居る央が嬉しそうに笑って喜んでいるだけで来たかいがあったと満足した。

過去に付き合った経験がないわけではない。
むしろ薫子さんとみちるさんからの指導のもと完璧にエスコート出来ていたと自己満足の世界で完結していた。
だからそれはどこか義務的にこなしていただけで、純粋にだれかと一緒に居たいと思って計画し事は初めてだった。



言葉が足りなかった分、これからは何でも話していきたい。

そしていつまでも一緒に。

さしあたって、今日俺は一斉一代の大告白をする予定だ。

央に出会った頃から取りかかっていた俺の初めての大仕事で。
それを、完成させて央にプロポーズをするつもりだったんだ。

………………その前にフラれたけど。



でも、ちゃんと間に合ったから。
あの時、偶然だけど航大と西園寺が居てくれたからこうやって央と又一緒にいられる。

そして、名実ともに俺のものだって言いたい。
我儘な独占欲だって分かってる。
寂しい思いをさせた分、慈しんで甘やかして全ての不安から守ってあげたい。


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