イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*

4.リストバンド

(いない――誰も)


案の定。

秘密の場所には、もう誰もいなかった。

べったりと倒れた草だけが、あのふたりの存在を物語ってた。

そして、この白いリストバンドだけが。


(それを使うとキミはすごく後悔するから)


あの子、悲しそうな目をしてた。

鋭い、きれいな目。


がっしりと抱きしめられたこと、至近距離の真剣な瞳を思い出しただけで、何だか落ち着かなくなる。

心臓がまたバクバク言い出した。


(もう――何なのよ……)


どこに行っちゃったの?

あたしはどうしたらいいの?


使って後悔するって?

こんなただのリストバンドを、何に……


(――ん?)
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