美狐はベッドの上で愛をささやく
◇第一夜◇

*・゚☆。・*失われた光。*




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ジージーと鳴く夏虫の羽音と一緒に、僧侶さんの低い声で読み上げるお経が聞こえてくる。


今日はわたし、美原 紗良(ミハラ サラ)の父、美原 清人(ミハラ キヨヒト)さんのお通夜。

父は、70年という短い命だった。



わたしの隣では、喪服に身を包んだ父の娘さんである奏美(カナミ)さんと、奏美さんの娘さんである、わたしと同い年の高校2年生の美紗緒(ミサオ)さんが鼻をすすっている。





朝から19時現在までシトシトと降り続けている雨はまるで、父との別れを惜しんでいるようだ。




そんな中、奏美さんの旦那さんである和夫(カズオ)さんは集まってくれた方々に深々とお辞儀をしながら挨拶をしている。




父は優しく穏やかな人で、みんなから慕われていた。

だから別れを惜しみ、こうやって通夜に駆けつけてくれる。



わたしでは、きっとこうはならないだろう……。


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