やわらかな檻

「……何を見ているんです?」


 後ろから不満げな声が聞こえてくる。

 私は頭だけを動かして、肩越しに慧を見た。 

 縁側に腰掛けているだけ余分に、元々身長が高い慧が更に大きく見えている。


 真上から覗き込まれる感覚、慧の顔が逆さまに見える。

 バランスをとろうと後ろに手をついて、心持ち顎先を上げた。
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