花の魔女
怒ったように眉を吊り上げるジェイクの顔をまじまじと見つめた。
フィオーレもナーベルと同じように、ぽかんとしてジェイクを見上げている。
ジェイクはそこではっとして、あわてて付け加えた。
「ラディアンが消える前に、あいつに言われたんだよ。ナーベルを頼むってな。だからだよ。別に俺は本当にお前を心配してるってわけじゃ」
「わかってるわ、ジェイク」
ナーベルはにっこりと笑みをジェイクに向けた。
「ありがとう」
「だ、だから違うって……!」
顔を赤くして頭を振るジェイクを、ナーベルとフィオーレはにこやかに見つめた。
(そうだわ、心配している場合ではなかったのに)
もともと、自分はラディアンを助けるために敵の中へ飛び込むつもりだったのだ。
そうすれば、自分の命だって狙われるのはわかっていたはずだ。
今さら怖じ気づいて何になるだろう。
(魔物が私を探しているのなら、かえって好都合だわ。私が魔物を倒して、私はそんなにやわじゃないってことをあの人たちに思い知らせてやりましょう)