流華の楔


全員がつどうには少々狭く感じる広間に、ようやく皆が集まった。



「…芹沢先生、どうぞ」


近藤の一声で、ざわめき立っていた部屋に静寂が宿る。






「俺達はこれより、新選組と名乗ることになった! 会津様直々の命名だからな。…十分に努めよとのことだ」



勝ち誇る笑み。

嫌に耳につく笑い声。



そんな“芹沢鴨”は、土方すら苦戦する不動の存在。




「………」




和早はその様子を壁際で眺めながら思う。




「(……あの男が中央に座らなくなる日も近いな…)」




和早は少なからず感じ取っていた。




新選組という名誉ある名が与えられた集団に、遠からず分岐点が近づいてきていることを――。
< 31 / 439 >

この作品をシェア

pagetop