流華の楔



和早を助けるつもりが、逆に助けられてしまった。

男としても情けない終わり方をした藤堂は――




「うー…」



壁に額を付けて撃沈中。
時々「最悪だ俺」と呟いている。
まるで念仏でも唱えているようだ。






「あはは、元気だしてくださいよ平助クン。衆道疑惑をかけられなくて良かったじゃないですか」



笑いを堪えるのに必死な沖田は、藤堂から目をそらしながら慰める。

本当は腹を抱えて笑うほど可笑しかったが、己の自尊心がそうさせなかった。

が、これ程の笑いの原因を作った和早には感謝せねばなるまい。





「ほっとけ! あーあーもういいや。飲む!」


「…くすっ、はいはい」




彼のやけ酒に付き合うのは何度目だろう、と沖田は苦笑した。
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