俺様婚約者~お見合いからの始まり~
事実
―――。

酸味の強いオレンジジュースの入ったグラスを口にしながら、鏡に向かいネクタイを締める、鏡の中の悠斗を見ていた。

二人で初めて迎えた朝は眩しい朝日の光が部屋に降り注ぐ静かなものだったが、私の胸の中だけは緊張と恥ずかしさから落ち着かずに、ずっとドキドキしていた。

「…ん?」

急にくるりと振り返り私の視線に気付いた悠斗が不思議そうに私を見た。

…あっ…。

私は慌てて視線を逸らしてナイフとフォークをせわしく動かした。

先ほど運ばれてきたホテルモーニングは朝から驚く程に豪華で、品数も多いが食べきる自信はあった。

昨晩は夜通し休む間もなく愛され続け、お腹はペコペコだった。

…きっと、悠斗もお腹、空いてるわね…。夜食もそこそこに…。

…わ…私ったら、何を考えて…。

悠斗は一人で赤くなっている私の向かいに座りコーヒーをゆっくり注ぐとそれを口にした。

その何気ない仕草が驚くほどに形になっている。

うわ…、絵になってるわね…、って、何で…。コーヒー飲んでるだけじゃない。

心の中で、一人ノリ突っ込みしながらも、チラチラと彼を盗み見る。

悠斗は、モーニングと共に運ばれてきてテーブルに並べられていた何紙かの新聞のうちの一つを手に取るとカサカサと広げて読み始めた。






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