憧れの彼と恋する方法

海人君を降ろし、車は再び走り出す。

今度こそ、正真正銘2人きり。


「助手席に座れば?」と言われたけど、万が一の事を考えて私はそのまま後部座席に留まった。



「海人君てほんと面白いね」


「そうなんですよ、あいつも俺も基本的に馬鹿だから」


「そんな事ないよ」


他愛のない会話だけど、その一言一言が私の心にずっしりと残る。


こうしていると、大事なことを忘れてしまいそうになる。



この幸せな時間は


『残り2ヶ月もない』


という事を。





「送ってくれてありがとう」


家の前で降りた私は、そう言って小さく手を振った。


< 111 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop