春に想われ 秋を愛した夏
「よーし。食べて飲むよー」
出来上がった料理と冷えたビールを前に、塔子のテンションはマックスだ。
三人で缶ビールを手に持つと、久しぶりの集まりにカンパーイ。と塔子が音頭をとる。
テーブルの上には、大きなお皿に乗った大量の餃子と。
塔子がリクエストした、エビチリと麻婆豆腐がいい香りの湯気を上げていた。
「ん~。おいしそっ」
塔子は早速餃子を口に入れると、肉汁の詰まった美味しさに、クゥーッと声を上げビールを一気に流し込んでいる。
「春斗君、天才!」
親指を立てて春斗を褒めたあとは、ノンストップというように次々にお腹へとおさめていった。
私もエビチリの辛さに、口の中をピリピリさせながらビールを喉に流し込んだ。
「どう?」
隣に座る春斗が美味しくできているか、窺うように顔を向ける。
「ホントに美味しい。得意って言ってただけあるね。エビがぷりっぷりで、辛さも丁度いいよ。ビールがすすむ」
塔子のマネをして、私も親指を立てて感想を言うと、安心したように春斗は餃子を口に運んだ。
「餃子はもっとにんにくを利かせると、更に美味しいんだけど。振舞う相手が今日は女性なので、少し控えめにしておきました」
紳士のように目を伏せて言うと、塔子はもぐもぐと口を動かしながら、また親指を立てている。
どうやら、応えるよりも食べるほうが優先みたいだ。