春に想われ 秋を愛した夏
塔子のがっつきぶりにケラケラ笑い、食事の時間は楽しく過ぎていった。
あんなにたくさんあって食べきれるだろうか。と思った餃子だったけれど、塔子のおかげですっかりお皿の上はきれいに片付いていた。
「苦しすぎて動けない……」
床の上にコロリと横になってしまった塔子が、酔いと満腹感に幸せな言葉を漏らしている。
それでもまだビールは呑みたいらしく、少しするとすっくと起き上がったと思ったら、冷蔵庫の中からまたビールを取り出してきた。
「ラス一、もーらい」
どうやら、冷蔵庫の中におさまっていたビールは、最後の一缶となっていたようだ。
「まだ、飲む? 買ってこようか?」
足りないだろう、といつもの塔子の飲みっぷりを考えて訊くと、大きく首を縦に振っている。
「じゃあ、近所のコンビニで買ってくるよ」
バッグの中から財布を取り出して玄関先に向かうと、春斗もやってくる。
「僕も行くよ」
一緒に行ってくれるという春斗だけれど、酔っている塔子の相手をしてあげてとお願いすると、了解。と快諾してくれた。
玄関を出て行く私に、気をつけて。と送り出す春斗。
気をつけて。といわれても、コンビニは歩いて五分とない距離にある。
この距離で何かあるとすれば、それは相当不運というものだろう。