スーツを着た悪魔【完結】
「俺は向こうでいくつか会議に出なきゃならないから、その間携帯は渡しておく。電話がかかってきたら要件を聞いておいて。あとここに来るのは全部Orlandoの俺宛だから、メールを代わりにチェックして、何かしら処理が必要だったら、阿部さんに転送する」
「はい」
まゆは新幹線のグリーン席に並んで座り、席の広さに驚く暇もなく、深青から小さなノートパソコンを渡される。
「ところで、会議ってOrlandoのですか?」
他人の目はないとはいえ、仕事中だから、まゆは自然と敬語になる。
が、深青は社内での徹底した敬語をやめ、くつろいだ様子で長い足を組んだ。
「いや、俺が役員を務める会社はいくつかあるんだ。で、京都であるのは、その同族経営のなれあい会議。メシ食ってダラダラしゃべってさ。怠いんだけど出ないわけにはいかなくて……ふわ……」
「そうなんですか……」
役員を勤める会社がいくつも?
それに驚いたが、深青は体の前で腕を組み目を閉じる。