スーツを着た悪魔【完結】

――――……



京都出張に、深青の秘書として同行する――。

はたして自分に勤まるものだろうかと思っていたまゆだったが、これは仕事、仕事なんだと、百万回だって自分に言い聞かせ、とりあえず深青の指示通りに新幹線の座席を取り、ホテルの部屋を予約し、出張当日を迎えた。






「今日、明日と、宜しくお願いいたします」



どこか緊張気味のまゆを見て、深青は頬が緩むのを必死で引き締めながら、彼女を見下ろす。


まゆは本気で「これは仕事」だと思っているのだ。

どうして自分が彼女を京都に連れて行くのか、本当の理由は別にある。


けれどそれを今ここで彼女に言うつもりはなかった。

深青とて、真剣に頑張ろうと思っているまゆの気持ちに水を差すつもりはないのだから。



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