【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
★3★
さりげない瞬き
振り返る間もなく、ひょこっと私の視界に人影が映り込む。
「ビンゴ。やっぱ結香チャンだった」
パサついた茶髪。覗き込む顔には見覚えがあった。
「遠目だったけど見てすぐわかった。絶対にそうだって思ったけどさ、肩たたいた瞬間に不安になったけど」
にこにこ、というよりもニヤニヤという顔でポンポン言葉を放つ。
ワインレッドのバイクに乗った、あの人だ。
この学校の人だろうという私の山勘は、それなりに当たっていたらしい。
「あれから大丈夫だった?
送ってけば良かったなって、後から気付いてさ」
口調の軽さに、心配なんて口だけだろうと思いきや、意外に目は真剣だった。
……というか、こんなに喋るひとだったんだ。
呆気にとられて言葉の波が押し寄せてくるのを眺めていたら、
彼の向こう側から微かな舌打ちが聞こえてきた。